バリ島というやつは

基本的に日本語が通じる。一度バイクに乗っているとき、そこらを歩いている人に単語を並べただけのインドネシア語で道を訪ねたら、なかなか通じないのか、とても不思議そうな表情をされた。なんども「マウクー、タバナン?(タバナンはどっち?)」と連呼したら、一人の男に「何?もっとハッキリ言って」と流暢な日本語で少し小馬鹿にするような口調で言われた。話を少ししたら、男は昔日本に留学していた経験があって、ムサビのデザイン科にいたそうだ。
あとはタトゥーだらけで、サモアかハワイ人みたいな風貌のデブのおっさんに話しかけられて、最初は非常にうさんくさい印象を受けたのだが、おっさんの口から明大前に住んでたことがあってタトゥーショップを経営しいる話をされたりする。
その他にも数えられないほどに日本語の通じる人間には出くわしてきたが、安宿のオーナーに限っては話せているようで、なぜかコミュニケーションのすれ違いが、度々あって笑えた。例えば、「今日は木曜日で、ヌガラ村のジェゴグ(竹のガムラン)の演奏の日と聞いたのだけど、やっているのか?やっていないのか?」と訪ねると「そうですねー(笑顔)」と、飽くまで(笑)でなく(笑顔)で自信満々に流されてしまう。しばらくニュアンスを変えたり、ジェスチャーをしながら説明を繰り返すと、ようやく伝わって、「それなら電話をしてあげますよ」と協力的になってくれる。だが、なぜか電話の後に10000ルピアを払えと、しっかりとした日本語で金を請求された。それは流石に高すぎるから5000ルピアだと言うと、少しの間もなく「NO!NO!NO!NO!だめです、10000ルピアです」という返事が戻ってくる。金には若干がめついのか、そういうやり取りに関しては、人の話をちゃんと聞く。だがホテルを出るとき、別れの挨拶に自信満々で「またきまーす!」と言われた。
こんな感じでバリ島はだいたい日本語が通じる。しかし、バリ島の隣のロンボク島へ行くと、ほとんど日本語は通じない。しかしロンボク島のそのまた先にある、ギリトラワンガンという島にいたっては、「アッパ(葉っぱ)ね!アッパ!」「キノコね!」「タケコプタッ!」「ドコデモドア!」あるいは「ブリブリねー!」「ドンぎまりねー!」「変態ね」と、げんなりするような日本語単語を聞くことが出来た。